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消えてしまった夢は 君の所為じゃない 魔法は無くしたけど もうおやすみ
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リハビリみたいな気持ちで書きました
シキアキ、介護ENDのおわりです。

サイトにございます
あなたと二人の世界、Ghost apple、眠れる森
の続きとなります。

死にたいわけじゃ無く誰もいないところにいきたい。
どっかとおくにいきたい。

そういう気分の日に書いたので、とてもファンタジーな内容です。

それでもよろしければ追記からどうぞ。


全然更新が無いのに、お越し頂いていて本当に申し訳ないです。
拍手とか、久しぶりに開いたら、なんだか空気になりたくなりました。
本当、どうしたらいいのか、なにからやればいいのかあたふたして…

ついこの間まで春だってうきうきしていた筈なのに。
駄目ですよね、こういう気分の日にここを開くと
あちらで弱音を吐かないために造った場所だったので
それを思い出して、少し我儘、というか、甘えが出てしまう場所なのかもしれません

いつも、夜に負けてしまいます









ちょっとだけ
ちょっとだけ眠るって

そう言ってきみが眠りについてから
いったい何年経っただろう?


美しい名前


春が来て夏が来て秋が来て冬が来て
いくつもの季節を通り過ぎて、また春が来た

車椅子にのったシキを守りながら逃げる
そういう生活をずっと続けてきて
いったい何年が経ったのだろう、

逃げ始めた時は斬っても斬っても追手が追いかけて来ていたのに
今では追ってくるものがいなくなってしまった
最初は、あれから数十年が経って 
俺たちの事を知っている人たちが居なくなってしまったのだと思った

現在の正確な日付や、年は分からなかった。
とっくの昔に街から人の姿は無くなっていた。

すべての都市は廃墟となって
もう二度と蛇口が捻られる事も無いのだ

車椅子に乗ったきみは嘘のように歳をとらなかった
あのとききみの時は完全に止まってしまったようで

いや、ちがうか、
あのときからきみは完全に人形になってしまったんだったね

俺も何故だか永遠に命が尽きる事も無くて
実は自分はロボットで、
人形のきみを永遠に守ることが使命なのかもって

少しだけ思ったよ

何十年だと思っていた月日は、
実は何百年だったのかもしれない

相変わらず灰色の街
相変わらず汚い空の色

相変わらず綺麗なきみの瞳
相変わらず俺は映してくれない瞳

きみの前に立つ
俺を見てくれないきみの前

俺にしか見えないかもしれないけど
きみには無数の管が繋がっている気がするよ
きっと、その管を通って、きみの魂はどこかへ行ってしまったんだね
そしてもう二度と、戻ってはこないんだね

そろりと頬を撫でると、ゆっくりとぱち、と瞬きだけが返ってきた。
まばたき、それだけが俺の救い。

一度だけ、起きてくれたの覚えてるよ
林檎を食べてどのくらい眠ってたって訊いてくれた事を
百年くらい、そう俺は答えたけど、それは嘘じゃ無かったんだよ

もうそろそろ俺にもきみにも時間が無い事を感じてる
きみはやけに軽くて このまま消えてしまいそうで
俺も、やけに目蓋が重い

「シキ・・・」

きみは俺にとってなんだったのか
いつだって俺は無力で きみを起こす事もできなかったね

そしてそのまま終わりを迎えるみたいだ

きみの心の音は最期まで聞けないみたいだ

優しく唇に触れて、けれど君は目を覚まさない。
最後まで、どきどきしてるのは俺だけだったのかな、

そう思って見上げると、

「・・・ぁ、」

小さな声

唇だけが、俺の名前のとおりに動く
きみの唇

「・・・シキ、」

ぎゅ、と抱きしめると、止まりかけの心臓の音が聞こえた。
おいていかないで、ずーっと思ってたけれど、
きっと一緒に眠れるから、もう怖くは無い。

いつだって世界にひとりぼっちだと思っていたけれど、
ほんとうは世界にふたりぼっちだったんだね

最後にきみの心臓の音を聴いて気付くなんて
俺はやっぱり馬鹿だった

「・・・シキ、シキ、・・・・し、き・・・」

何度名前を呼んだって足りなかった
君の名前はこんなにもきれいで、だから涙も止まらなくて、
かなしいわけはないのに、
でももう二度ときみに会えないのかと思うと涙が止まらなかったよ

離れたくなかった 呼吸が追いつかないほど苦しかった
きみが最後に俺の名を呼んだのは罰だね

シキに大好きだって伝えたかった
さびしいから眠らないでって
置いていかないでって

時計の針を戻す魔法があったら良かったね

綺麗な朝焼け

紺色の空が真っ赤になって

まぶしいくらい綺麗な光がさしこんで

俺がこの世界で最後に

呼んだのは

きみの名前だったよ

綺麗な名前

もう呼ぶことはないんだね

ずっと一緒にいたかったよ

死にたくないわけじゃなかった

死んでもいいからふたりきりがよかったよ

もう二度と会うことはなくても

俺はシキのこと忘れたくないよ

その気持ちもいつか消えてしまうんだね

でも、最後だから、泣きたくないから泣かないでおくね

終わりまで意地っ張り、って思われちゃうのかな

 

シキ、

俺もちょっとだけ眠るね

次に目が覚めた時

シキが傍に居てくれると

いいな

 

おやすみ


さようなら

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2010/03/20
sayu

image song
THE BACK HORN/美しい名前

http://www.youtube.com/watch?v=rl71XFumXLo

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